関西で中学入試の過去問題集を買おうとすると、英俊社(いわゆる赤本)の過去問と教英出版(いわゆる白本)の過去問があることがわかります。
「どっちを購入するのがいいの?」
「入試の問題自体は同じなんだからどこの過去問題集も同じでしょ?」
「大学受験でも過去問題集といえば赤本だから、中学受験も赤本でいいのかなあ?」
などなど、みんな迷うと思います。
僕も迷いました。
結局、両方購入して徹底的に比較しましたので、悩んでいる親御さんに向けてどちらがオススメかお知らせします。
【結論】どちらかを選ぶなら英俊社の赤本
ますは、結論から。
どちらかを選ぶなら、英俊社の赤本を買う。
お金に余裕があれば、両方買って併用する。
その理由を両者を詳細に比較した上でお伝えします。
両者の比較表
僕が購入した奈良の東大寺学園中学の過去問題集を例に比較します。
出版社 | 英俊社 | 教英出版 |
通称 | 赤本 | 白本 |
掲載年数 | 6年 | 5年 |
価格 | 2,970円 | 2,860円 |
1年あたりの価格 | 495円 | 572円 |
配点 | あり(推定) | なし |
問題文の省略 | なし | あり(2023年度国語の二) |
レイアウト | 本試験と異なる | ほぼ本試験と同じ |
保管のしやすさ | しやすい | しにくい |
コピーのしやすさ | しにくい | しやすい |
購入前の中身の確認 | 可能 | 不可 |
以下、詳しく解説していきます。
創業は白本の教英出版の方が古い
株式会社英俊社は1974年(昭和49年)創業、本社は大阪市です。
英俊社の過去問題集は「赤本」の愛称で呼ばれています。
株式会社教英出版は1960年(昭和35年)創業、本社は静岡市です。
この記事では便宜上、教英出版の過去問題集を「白本」と呼ぶことにします。
なんとなく赤本の英俊社の方が古くからあるのだろうと思っていたので、教英出版の方が古いとは意外でした。
創業が古いからどうした?と言われればそれまでですが、歴史がある方が安心できるかもしれません。
掲載年数は英俊社(赤本)の方が多い
英俊社(赤本)は6年分掲載されています。
2022年度受験用だと、
- 2021年(令和3年)
- 2020年(令和2年)
- 2019年(平成31年)
- 2018年(平成30年)
- 2017年(平成29年)
- 2016年(平成28年)
の6年分です。
一方、教英出版(白本)は5年分です。
2022年度受験用だと、
- 2021年(令和3年)
- 2020年(令和2年)
- 2019年(平成31年)
- 2018年(平成30年)
- 2017年(平成29年)
の5年分が掲載されています。
掲載年数は多い方がいいですよね。
よって英俊社(赤本)の方がよいです。
1冊の価格は教英出版(白本)の方が安い
英俊社(赤本)は2,970円、教英出版(白本)2,750円です。
1冊あたりの価格は教英出版(白本)の方が安いです。
1年あたりの価格は英俊社(赤本)の方が安い
1年分あたりの価格を計算すると、6年分掲載されている英俊社(赤本)が495円、5年分の教英出版(白本)は550円です。
よって、コスパは英俊社(赤本)の方がよいです。
英俊社(赤本)には配点の記載有り
赤本には配点の記載があります。
ただし、学校が配点を公表していないので、英俊社の推定配点です。
それでも、合格最低点とどれだけ差があるかを測るには配点があったほうが便利です。
子供自身が適当に配点を予想するのは恣意的過ぎます。
一方、白本には配点の記載はありません。
英俊社(赤本)の方が良いです。
英俊社(赤本)には問題文の省略がない
英俊社(赤本)には、国語の問題文の省略はありません。
一方、教英出版(白本)には省略がありました。
うちの息子が取り組んでいたときは、東大寺学園中学の2017年の国語の三の問題文が省略されていました。
(2025年度版だと2023年度の国語の二)
問題文がないと問題が解けません!
その分を補うために教英出版のHPから演習問題を利用できるようですが、取り組みたいのは実際に出題された問題なので、別の演習問題をやっても過去問演習としてはあまり意味はないでしょう。
英俊社(赤本)の方が良いです。
教英出版(白本)のレイアウトは本試験とほぼ同じ
英俊社(赤本)はきちきちに隙間なくレイアウトされているので、本番の試験とレイアウトが大きく異なります。
一方、教英出版(白本)はほぼ本試験と同じです。
違いがわかりやすい、算数を例に見てみましょう。
実際の入試問題
まずは、実際の入試問題のレイアウトです。
正確には、東大寺学園の入試説明会で配布された入試問題です。
(本番はB4ですが、説明会で渡されたものはA4で少し小さいです。)
問題文にモザイクをかけた関係でわかりにくいかもしれませんが、設問の間には余白が十分にあり、計算に使えます。
教英出版(白本)
教英出版(白本)のレイアウトは本番の試験と同じです。
大きさも本番と同じB4です。
(ただし、本番はB4の片面に印刷されているだけですが、白本はB4の両面に印刷されています。問題用紙をコピーするときは、片面印刷にするとよいでしょう。)
英俊社(赤本)
英俊社(赤本)のレイアウトは本試験と異なり、キツキツにレイアウトされています。
図の位置も移動されています。
余白はありません。
計算は別のノートにする必要があります。
細かいところを言えば、冒頭の注意書きは本番の試験では※印ですが、赤本では(注)となっていますし、図形の点線も赤本の方が1つの点の長さ、間隔が短いです。
もちろん、問題自体は本番と同じなので演習するには支障ありません。
しかし、赤本しかやっていないと、本番で配られた試験問題を見て、「あれほど過去問をやったのに、何かいつもと違う!」と面食らってしまわないかと親としては心配になります。
保管は赤本が楽
赤本は文字通り本型です。
本棚に立てておけばスッキリ保管できます。
一方、白本はプリントの束です。
ビニール袋を破って上から撮ったのが上の画像です。
厚紙の間にプリントの束が入っています。
中身を出すと、上の画像のように、試験問題が年度別にホチキス留めされています。
プリントですから、お子様が片付けの苦手な男子なら散乱することを覚悟しておきましょう。
コピーは白本がしやすい
過去問をするときは、原本ではなく、コピーを取って問題を解かせることも多いでしょう。
赤本は本なので、コピーするときは本を開いて一枚ずつコピーする必要があります。
しっかりコピー機の上蓋をしめないと、本の間が黒くなったりします。
(これ、イライラしますよね。)
一方、白本は、プリント型なのでコピーしやすいです。
特に自動原稿送り装置(ADF)が付いているコピー機なら、セットするだけでシャーっとコピーできて楽ちんです。
私物のコピーができる職場は少ないでしょうから、コンビニでコピーしようする方が多いと思います。
しかし、コンビニのコピー機は自動原稿送り装置が付いていないことが多いですし、コンビニまで毎回行くのも大変です。
コンビニでコピーしている時に後ろに並ばれると嫌ですよね。
毎日のお弁当作りや塾の送り迎えなど、中学受験生を抱える親には時間がありません。
スモールビジネス用の複合機が3万円台で購入できますので、合格するための必要経費だと割り切って購入してしまいましょう(でかいけど)。
入試本番の受験票を印刷する際にも活躍しますし、もちろん、合格した後、中学高校の勉強で使えます。
4万円台でも良ければ、印刷ピードが速くなり、耐久性も上がった最新機種があります。
コピー用紙も忘れずに。
話がそれたので戻します。
プリント型の白本は散らばりやすいですが、その分コピーしやすいということです。
赤本は購入前に中身を確認できる
赤本は本屋さんで普通にペラペラと中身を確認することができます。
一方白本は中身を見ることはできません。
このように、ビニールでパッキングされているからです。
パッキングしていないと、中身がバラバラになってしまうからでしょう。
プリント型の宿命ですね。
解説は教英出版(白本)の方がよい(うちの息子の個人的感想)
うちの息子の個人的感想に過ぎませんが、「算数の解説は教英出版(白本)の方が図や表が多く、わかりやすい」とのこと。
しかし、教英出版(白本)の理科の解答に納得がいかず、英俊社(赤本)と見比べて「白本のこの解答はありえんわ~」と怒っていたので、一概にどちらがいいとは言い切れません。
インターネットを見ていると過去問集の解答には間違いもあるようです。
両方の過去問集を買っておけば、解答を見比べることで間違いに気づけます。
どちらが正しいのか判断がつかなければ塾の先生に質問することで解決するでしょう。
また、解説も自分が理解しやすい方を採用すればよいと思います。
よって、お金に余裕があれば、両方買っておくのがベストの選択です。
(あと、塾の先生が言うには、過去問集の国語の記述式の解答はあまり良くないものもあるので、鵜呑みにしない方がよいとのことです。)
英俊社(赤本)がおすすめな人
- 過去問は1年でも多くやっておきたい人。
- 問題文の非掲載は許しがたい人。
- 推定配点を目安に採点して合格ラインとの距離を測りたい人。
- プリントはぐちゃぐちゃにしてしまいそうな人。
- 購入前に中身を確認してから買いたい人。
教英出版(白本)がおすすめな人
- 本番さながらの形式で過去問に挑戦したい人。
- 問題文に書き込みながら過去問をやりたい人。
- コピーを頻繁に取る人。
両方購入するのがおすすめな人
- 解答の間違いに時間を浪費したくない人。
- 本番に近い環境で過去問に取り組みたいが、問題文の省略は嫌だという人。
- 両方の過去問を買えるお金の余裕がある人。
- どうしても合格したい学校がある人。
まとめ
英俊社(赤本)と教英出版(白本)のどちらかを選ぶなら、レイアウトは本番と異なりますが、過去6年分掲載されていて、問題文の非掲載もない赤本に軍配が上がると僕は考えます。
ただ、本番と同じ問題用紙で過去問にチャレンジできる白本も捨てがたい。
ということで、
受かりたい学校(本命校)は両方購入
それ以外の学校は赤本を購入
することをおすすめします。
過去問は、毎年5月末から6月中旬に新年度分が発売されます。
いざ過去問に取り組もうとした時期に品切れだと困りますので、受かりたい学校の過去問は早めに入手しておくと安心です。
机の上に置いてあるだけで、子供の身が引き締まるという効果が期待できるかも知れません。
おわり。